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「21世紀に甦る賀川豊彦・ハル」DVD 紹介文 [賀川豊彦DVD]

「21世紀に甦る賀川豊彦・ハル」DVD 紹介文を掲載させていただきます。

競争・格差を越えて、次の市民社会の原理を示す





本シンポジウム コーディネーター:稲垣久和(東京基督教大学大学院教授)





今の日本社会の大きな課題の一つは、経済の面では格差の拡大と貧困の増大でしょう。「国民生活基礎調査」(2014年)は、日本の相対的貧困率は16.1%(18歳未満の子どもでは16.3%)、実に日本人の6人に1人の子どもが相対的貧困家庭(例えば4人世帯の場合、年収が全国の4人世帯の平均448万円の半額である224万円に満たない世帯)に暮らしていることになります。そのようななかで、このDVDに収められたシンポジウムは、日本の社会事業家・宗教者の賀川豊彦の思想と実践が今の社会に対してもつ意味を、新しい視点で明らかにしています。





賀川豊彦は、今日の労働組合、生活協同組合、農業協同組合、共済保険など「およそ運動と名のつくものの大部分は、賀川豊彦に源を発している」(評論家・大宅壮一)と言われたほど、数多くの社会事業を立ち上げ実践しました。これらに共通するのはいずれも助け合いのための組織だということです。シンポジウムで語られた重要な点の一つは、戦後民主主義のなかで、賀川のキーワードである「友愛と連帯」の思想が、市場原理主義や格差社会に対して、オルタナティブ(代替的)な市民社会の原理を提供するということです。



二つめの重要な視点は、多様な団体・組織がよりよい社会のために連携する可能性を賀川の思想が提供するということです。賀川豊彦が創設もしくは創設に関わった労組、生協、農協などの事業体は、今日では非常に大きな事業に成長しています(例えば全国の生協の組合員は2700万人、連合の組合員数は1000万人近く、農協の正組合員は450万人余)。登壇者の一人、篠田徹・早大教授はこの状況を、「『現住所』は別々だが、賀川の友愛と連帯というルーツの『本籍』は一つ」というユニークなたとえで説明しています。確かに各組織は強く結束して重要な事業を行っていますが、しかし、他の団体、グループと横につながるという点は弱かったのではないかと思います。その点がまさに賀川的な友愛思想によって乗り越えられる、そのヒントがこのシンポジウムで示されていると思います。



また経済面と並ぶ課題である政治面でも賀川はよいモデルを提供しています。日本には、長い伝統のなかにあるよいものを継承して未来につないでいこうとする人たちがいて、私自身もそれに賛成です。しかし、どのような面を日本のよい伝統として引き継ぐかという点では様々な議論があります。敗戦直後に著した『東洋思想の再吟味』のなかで賀川は、日本の儒教、仏教、神道などをきちんと評価し、伝統を受け継いだよい日本をつくろうと提唱しています。そうした賀川の姿勢は、資本主義や貧困を初めとする、近代化によって生じてきた現代のさまざまな問題について考える際に多くの示唆を与えてくれます。そのことを今回のシンポジウムをとおしても再確認できたと思います。





こうしたシンポジウムで「賀川先生は立派だった」というだけではあまり意味があるとはいえないでしょう。せっかくこのような市民社会の先駆者と呼べる人物がいながら、その意義に注目しないことは私たちにとって大きな損失です。経済成長の時代が終わって、すでに次のポスト成長期というステージに入っているといわれる現在、従来の「成長」路線ではなく、低成長でもよい、もっと心豊かな生活をしたいと願う若い世代の人たちが増えています。そのような人たちにこそこのDVDを見ていただき、賀川豊彦・ハルの思想と実践をよいかたちで継承・発展させてほしいと願っています。

以上となります。

ぜひ本紹介文で「21世紀に甦る賀川豊彦・ハル」DVDの意義を感じていただき、ご購入いただけましたら幸いです。

DVD販売情報は過去当ブログ記事の下記リンク先をご参照ください。

http://logosfilm.blog.so-net.ne.jp/2016-02-29


 


21世紀に甦る賀川豊彦・ハル」 DVD ダイジェスト映像 from ロゴスフィルム on Vimeo.


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